口腔機能訓練
口腔機能には様々な要素があります。唾液の分泌や咀嚼・嚥下、発声などがあります。
嚥下機能と発声機能はどちらも口腔機能として密接に関与していますのでお互いに補完するような練習を行います。
用語解説
- 先行期:目で見て食べ物を認識する
- 準備期:その食べ物を口から入れ、咀嚼する
- 口腔期:舌や頬を使い、食べ物を口の奥からのどへ送る
- 咽頭期:脳にある嚥下中枢からの指令で、食べ物を食道へ送る
- 食道期:食べ物を胃へ送り込む
1 先行期:視覚、嗅覚、触覚などから食物を認識して口に運ぶ前の時期です。今から口に運ぶものが食べ物であるかどうか、硬さはどうか、一口で口に入れることができる大きさか、などを判断しています。
2 準備期:口腔内に食物を送り込み、咀嚼(歯で噛み砕くこと)をして、食塊(まとまりがあって柔らかく咽頭を通過しやすい一塊の食物)を形成する時期です。食塊は顎、舌、頬、歯を使って、唾液と混ぜ合わせています。
3 口腔期:舌を使って、食塊を咽頭(のど)へ送り込む時期です。舌を、しっかりと口蓋(口の上側)に接触させることで、口腔内の圧を高め、送り込む動作を促します。頬や口唇も、同様の役割を果たしています。
4 咽頭期:嚥下反射によって、食塊を咽頭から食道入り口へ送り込む時期となります。軟口蓋が挙上して鼻腔との交通を遮断、舌骨、口頭が前上方に挙上して食道入り口部が開大するのと同時に喉頭蓋谷が下降します。声門は閉鎖し気道防御機構が働くことで誤嚥を防止します。
5 食道期:蠕動運動と重力によって食塊を食道から胃へ送り込んでいく時期となります。食道入り口部の筋肉は収縮し、食塊が逆流しないように閉鎖します。
実際の口腔機能訓練
①口腔体操
お口周りや頬の筋力を高めることで、食べこぼしや、逆に食べ物が口に残ってしまうことを防ぎます。
お口周りの筋肉の働きによって、円滑な咀嚼が行われます。
②パタカラ体操
食べ物を上手にのどの奥まで運ぶ一連の動作を鍛えるための、発音による運動です。
パパパ・タタタ・カカカ・ラララをそれぞれ10回を2セット
パタパタ×10回、カラカラ×10回、パタカラ×10回を発声します。
大きく早口で言うほど効果的です。
③開口訓練指導
開口反射誘発の指導(Kポイント刺激法)
これは刺激部位をKスプーンで刺激する方法を指導します。
④嚥下反射促進手技
飲み込みに関わる筋肉に対し、頸を軽く擦ることで嚥下反射(飲み込みの反射)を促します。
のど仏の両脇に指を当てて、顎の方へ指で皮膚を下から上へ、4・5 回摩擦します。
皮膚をつまんだり、あまり強く押さないようにして下さい。頸を後ろに反らせないようにして下さい。
⑤プッシングプリング
声帯の動きを良くし、気道の入り口を閉じる動き(咽頭閉鎖)を良くすることによって誤嚥を防ぐ訓練です。
壁や机を押しながら力を込めて「エイ」「ヤ」など、喉を閉めやすい声を出します。力強い声を出すことが重要です。
5 ~ 10 回を 1 セットとし、1 日 2 ~ 3 セット行います
*声門閉鎖を強化します。座位の場合、テーブルなどに手を添え「ふんばる姿勢」で行います。
⑥息こらえ嚥下法
嚥下と呼吸の協調性・タイミングを整えて、誤嚥を起こしにくい嚥下方法(飲み込みかた)を習得するための訓練です。
10 ~ 20 回繰り返します。
口の中が乾いてしまう場合は、1 回に 1ml 程度の水を用いるか、口腔内保湿剤を使うとよいです。
⑦シャキア法
色々な変法がありますがその1例です。
① 持続訓練:
ゆっくり 5 つ数えながら持続して行います
② 反復訓練:
1 から 5 まで数を唱えながらそれに合わせて下を向くように力を入れます
〈ポイント〉
・座った状態で姿勢を正します。
・左右どちらの手でも良いので、おでこに手のひらを縦に当てます。頭が動かないように手で押さえながらおへそ部分を見るようにします。
・手のひらとおでこで押し合いを 5 秒間行います。
・嚥下おでこ体操は 1 日 3 回程度を行います。
・反対の手でのど仏の上を触り、筋肉が硬くなっているのを確認しましょう。
他にも色々な練習がありますのでまた、別のページでも紹介していきたいと思います。
リタックではこのような口腔機能の練習もしていますので是非一緒に練習して一緒に『オーラルフレイル』(口の虚弱)を改善していきましょう。